質感はどこかぬくもりがあった(駄玩具素材:木編)

ブリキ、セルロイド編につづいて

今回は木製の駄玩具を集めてみた。


木製と言っても

純粋に木だけで作られた玩具は

積木などの幼児玩具に多く見られるが

駄菓子屋で売られていたものは

木をベースに他の素材を組み合わせて

デティールや機能を補っていたものが多かった。

なので厳密に言うと

木+別素材となる。


冒頭の画像は

木をベースにブリキで装飾された潜水艦だ。

使われている漢字からして昭和20年代の物だろう。

潜水艦やボートを当てる引きくじ

その箱の上部ラベルである。

箱を開けると

潜水艦類が所狭しと。

経年でブリキ部分はだいぶ錆びついて

劣化しているが

土台の木の部分は奇跡的にきれいな状態だ。

4等の豆ボートは帆だけしかないな

と思いきや

箱の中にまた箱があって

底にギッシリ。

全種類抜き出してみた。

下から

1等:特上 大型潜水艦

2等:大型 潜水艦

3等:中型 潜水艦


左上が

4等:豆 ボート


大型潜水艦と言っても

全長20cm位の手ごろなサイズである。


1.2等はなつかしいゴム動力のスクリュー付き

3.4等はただ水の上に浮かばせるだけの物


潜水艦と言っても水中を潜航する訳ではなく

船のように水面をスイスイと走るだけだ。

しかれど

木をベースにすることで

加工しやすい、安価、素材自体に浮力がある

など材料として最適であったといえよう。



船系を紹介したので続いては

これも昭和20年代でしょう。

60年以上は経過しているので箱はボロボロだが

長年デッドストックとして

未開封であったため

中の飛行機の状態は驚くほど良い。


機体の軸は木製

翼の骨格や脚は針金でできている

全長約30cm。(ゴム動力式)

絹(シルク)張りされている翼は

シルク独特の光沢と透け感が高級感を醸し出す。


当時の日本は養蚕も主要産業のひとつで

絹織物は庶民向けまで幅広く流通していた。

今ではシルクと聞くと高級品のイメージがあるが

流通量も多くピンからキリまであったようだ。


ここに使われているものは絹紡紬糸といって

生糸にできない短い繊維を紡績し

ネップなどの多いやや質の悪いものだ。

(コホン!かつてブランドシルクスカーフの企画職

についていたので少し専門的な解説をしてみた)


なので価格も他の駄玩具と

そう変わらない設定で

当時10円位だったでしょう。


続いては

木製のピストルを。

ロー面子専用のタイプだ。

ロー面子は基本的には指で弾いて飛ばすのだが

より簡単により遠くへ飛ばすために

企画された。


ごくシンプルに

木と竹ひごだけでできている。

ご覧のように

竹ひごの引き金をしならせて

弾くだけの簡易構造。



ピストル系を続けて紹介。

上:コルク銃(全長約28cm)

下:輪ゴム銃(全長宅30cm)


コルク銃は上部のギミック部分のみブリキ製である。

右サイドのレバーを手前に引くと

内部中央のロックで固定。

同時に内部のバネに抵抗、応力が加わり

引き金を引くことで

ロックが解除され

バネが勢いよく反発。

⇒コルクが弾き出される。


それぞれのピストルを握って思うことは

やはり感触が良い!と言うことだ。

適度な柔らかさと重量感は

人工的中空構造であるプラやブリキ製にはない

ぬくもりが感じられるのだ。



ピストルを洋物とするなら

和物も取り上げなければならない。

日本刀の玩具であるが

よくできている

柄巻もしっかり編み込まれているし。

駄菓子屋ではなく一般的な玩具店で売られていたものかもしれない。

全長50cm弱。

刃はアルミ製。

鞘の鯉口を見ると

木製で切りっぱなしになっていて

さすがにそこまでは手を加えられなかったか。


やはり鞘に手を掛けると

その木の感触は良い。

個人的には下段に構えて

眠狂四朗のようにストロボアクション風に

「円月殺法」を繰り出したくなる。


駄玩具素材:木編は以上だが

やはり冒頭でも少し触れたように

木+別素材の組み合わせにで

より魅力的な玩具に仕上がっている。

木のみで構成すると

どうしても構造、機能とも制限されるため

グッと年齢を下げた幼児玩具に適したものになろう。


画像にあるような数遊び玩具、積木などがそうだ。

それはそれでまた独特な魅力があるので

別の機会に特集できればと思う。


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