昭和の子供傘を開いて思うこと

こんな

どんより風景が何日も続いている。

今年の梅雨は特に長くて気も滅入る。

仕事の意欲まで湿りがちだ。

(本当に梅雨のせいか?)


でも

小学生の頃は

雨の日は雨の日で

それほどうんざりした気分は

なかったように思える。


新品の雨具を買ってもらった時などは

雨々降れ々~の気分で雨空が待ち遠しく

待ちに待った雨日には

わざと水たまりに入ったりして

ちゃっぷちゃぷ♪ランラン

なテンションであった。


そんな気分に戻れるか

半世紀ぶりに

当時の学童用傘を開いてみた。

当時の人気アニメ「ハリスの旋風」と

「宇宙エース」の傘である。

冒頭の宇宙エースに続いて

ハリスの旋風も雨空に掲げてみた。

うんやっぱり楽しい気がする。

開いた傘を閉じて

あらためて全容をみてみよう。

50年以上前のものだが

未使用で商品タグまで残っていた。

ここでキャラクター紹介

「宇宙エース」 竜の子プロダクション


昭和40年からTVアニメ化されたヒーロー漫画。

パールム星人のエースは宇宙の平和を願って

地球を拠点に悪の宇宙人や怪物たちと

戦いを繰り広げるお話。


人気故にグッズもたくさん発売されていた。

面子やかるたなどはもちろんだが

カネボウハリスガム等の菓子食品でも

商品化されていた。

画像下方にあるペンダントは

宇宙エースのガムを買って

点数を集めて応募すると貰えたコインケースだ。

「ハリスの旋風」(ハリスのかぜ)  ちばてつや


昭和40年より少年マガジンに連載(TVアニメは昭和41年~)

喧嘩好きで破天荒な石田国松は運動神経抜群でスポーツも万能。

ハリス学園の人気者が大活躍するお話。


漫画タイトルからして

スポンサーはわかりやすくカネボウハリス。

こちらもハリスだ。

当時は強力な宣伝効果を狙って

スポンサー名をそのまま

漫画のタイトルに移植するパターンが

よく見られた。

「ナショナルキッド」⇒ナショナル=松下電器産業

「風のフジ丸」   ⇒フジサワ薬品 ※原作は「風の石丸」

「シスコン王子」  ⇒シスコ製菓 ※シリアル食品シスコーン

などである。


さて

ふたたびタグ情報見てみると

この傘のメーカーは

鐘紡(当時の正式な名称は鐘淵紡績株式会社)

後に略称でブランド名が社名になった「カネボウ」だ。

はは~ん

すべてカネボウつながりだった。

戦後

チョコやガムの大手であったハリス株式会社は

食品分野への進出を計画していたカネボウに

吸収合併(昭和39年)されカネボウハリスとなっていた。

グループ企業間で統一した広告戦略をたてていたようだ。


本題に戻そう

傘の素材はナイロンで

今では一般的であるが

昭和40年頃は合成繊維の生地は

画期的な新素材でまだかなりの高値だった。

別メーカーの広告

(月刊漫画誌の付録本裏表紙-昭和40年6月)

であるがこちらもナイロン製で

なんと850円!

それまで普及していた綿生地の傘は

500円弱だった。


新素材ナイロン傘

今だったら4000円~5000円相当か。


普及版の綿生地傘であるが

綿は雨で水分を含むと

糸が膨張して織目が詰り

雨水が漏らない原理だった。

そのかわり

使い始めると次第に重たくなった。


使っても全然重くならない

そして雨を

面白いように水球にしてはじく

(撥水コーティングによる)

ナイロン傘を最初に使った時は

とても感動したことを憶えている。

傘生地の特長ばかりを話してきたが

ハンドル部分もとてもよい。

プラ成形であるが

べっ甲調で奇麗でおいしそうだ。

貧しく飢えていた小学生時代であったら

食べられないとわかっていても

ひと舐めしてしまうような光沢を

醸し出している。


最近は傘と言えば

コンビニとかドラックストアの店頭で

買う事が多い。

しかしながら

昭和時代は傘専門店が主流だった。

特に「傘とはきもの」の店が

商店街には必ず1軒はあったと思う。

今ではほとんど見かけないな思っていたが

中野のサンモールあたりに1件あったかも

と思いだした。


行動範囲が狭い私だが

中野は通期定期券内なので

難なくいける。行ってみよう。

足を運んだ甲斐がありました

通勤途中駅でさほど苦労してないけど。

昭和を愛する者としては

昔ながらの形態で営業されていて

本当に嬉しい限り。


昭和の時代は

宇宙エースの傘なども

このようなお店で買ってました。

でも昔から

「傘」と「はきもの」

この2つのカテゴリで品揃え構成している店舗が

ほとんどだったと思う。


何故なのか

三代目ご主人に聞いてみた。

ご主人曰く:(以下要約)

元来は「傘と下駄」のお店であった。

昔(江戸時代~)は今のような舗装道路などなく

雨が降れば道は水浸しで下駄が重宝された。

傘と併せて雨対策のグッズをそろえて販売していた。

と目から鱗の回答。

下駄から時代と共にサンダル、シューズと

広がっていった。


でも多くの「傘とはきもの」の店が廃業していくなか

安定した経営を維持できるのか・・・

さすがに昭和時代の傘などは残っておらず

キラキラの新品ばかりだ。

あらためて

傘生地などを見てみると

ジャカードの高級感ある模様で織られていたり

刺繍を施してあったり

やはりコンビニ傘とは物が違いますな。

ビニール傘に慣れてしまった今

大切に使う勝負傘1本は持っておきたい

と思わせる品揃えだった。

また

履物でも最近は若者のコスプレ需要が高く

特徴あるデザインブーツなどは

よく出るとの事。

時代に沿った需要やきめ細かいニーズに対し

柔軟に対応しているところが

しっかりとした経営基盤になっているようだ。


自宅に戻り

もっと昭和の雨具などがないか探してみると

「鉄腕アトム」手塚治虫 手塚プロダクション


下駄はなかったけど

アトムの長靴があった。

これを履くと

水たまりなんかもちろんへっちゃらだが

アトムのように空さえも飛べそうな気がした。


長靴、傘を装備したままの雨上がりなど

ジャングルジムや塀などによじ登り

傘を開きながら

ジャンプ~降下

なんてしませんでしたか。

私はやりました。(女子達からは冷たい目線を感じつつ)

子どもと時の方が

時間の楽しみ方

というものを知っていたような気がする。


大人いや初老になった今

それなりの楽しみ方を

もっと探求してもいいかもしれない。


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